【報告】静岡・町の工務店ネット全国総会

2月27日〜28日、静岡県浜松市、袋井市を舞台に総勢167人を集め、「町の工務店ネット全国総会 in 遠州」が開かれました。

3件の完成建物と、2件の構造見学、基調報告、記念講演、7社の会員工務店報告、4組の工務店+建築家の取り組み報告と、盛りだくさんの2日間です。

2月27日
見学先
「Sukura大久保」入政建築+建築家・秋山東一

入政建築社長宅でもあるSukura大久保。工務店によるブリコラージュ、ともいえる合板表し仕上げ、小さな小屋などの目を引くところだけでなく、車椅子で暮らせるバリアフリーや、遊び心のあるプランなど、各所に見どころを見つけられたようです。

「夢双庵」「FUKUROI FOREST HOUSE」水﨑建築+建築家・村松篤

水﨑社長と村松篤さんのはじめての仕事は1980年、モデルハウスの仕事でした。それから40年近く、二人は実績を重ねています。
仕事を重ねることで、重要なところ、こだわるところが自然とわかるようになった、という関係から生み出された最新の二軒を見学しました。写真は掲載できないのが残念ですが「精緻」「美しい」という感想が数多く聞かれました。

「びおハウスH 構造2件」造居+建築家・半田雅俊

半田雅俊さんによるびおハウスHが、2軒隣接している施工中の現場を見学しました。もともと明快なしくみのびおハウスHだからこそ、「わかりやすい」という声が多数聞かれます。びおハウスHは、完全な規格住宅ではなく、工務店と建築家がタッグを組んでそれぞれの仕様を決めていきます。ここでは、造居・小澤社長肝いりのパネルも話題になりました。

講演
「ベーシックハウスを考える〜変わらないものと変わりゆくもの〜」 建築家・堀部安嗣

もの、風景、価値、建築、そして人が「使い捨て」になっている時代、これから何が求められるか。建築に何ができるか。
自分が価値ある者として意味づけられる場所をつくること、知恵を出し、あるものをいかすこと、未来をを考え、利他の精神を持つこと。堀部さんらしい、腑に落ちるお話でした。

2月28日

基調報告 町の工務店ネット代表理事 小池一三

代表の小池からは、強烈な定冠詞「The」で綴った「The 定番」と題し、工務店のベース、顔になるもの、基本となるものを生み出すべし、という話をお伝えしました。期待される像をつくり、それに答え続けながら、定番がやがて伝統に変わっていく。そんな独立自営工務店を目指そう、という呼びかけです。

講演 新建新聞社代表取締役 三浦祐成

新建新聞社の三浦社長からは、いつもながらの鋭い分析をいただきました。アイデンティティ、ポリシー、ものさし、そして取捨選択ともいえる編集を通じて定番化する、という、今回のテーマにマッチした経営論を展開いただきました。

各社発表
「入会から10年 自社の定番をつくる」 株式会社創建 代表取締役 有村忠一
「KOBENNO KOUMUTEN」有限会社小弁野工務店 小辨野聖也
「ウチの定番」株式会社マクス 代表取締役 鈴木克彦
「富士山のふもとの「定番」 」株式会社滝口建築 代表取締役 滝口伸一
「定番を求めて」株式会社グートンライフ 代表取締役 出口光生
「いなほ工務店 “定番” について」株式会社いなほ工務店 代表取締役 本峰久
「熊本地震あれから3年」株式会社ミズタホーム 代表取締役 水田和弘


それぞれ10分という短い時間ですが、各社の「定番」ぶり、あるいは「尖りぶり」は、参加者が一番聞きたいことでもあります。

建築家+工務店の報告
「実績を重ねて」 株式会社水﨑建築 代表取締役 水﨑隆司 + 建築家 村松篤
「びおH 型のある住まいの提供」株式会社造居 代表取締役 小澤典良 + 建築家 半田雅俊
「現代町家の展開~いがみ建築工房の仕事と趙海光のサポート」伊神建設株式会社 代表取締役 伊神斉 + 建築家 趙海光
「412との出会い~秋山設計道場・秋山建築学校」有限会社入政建築 代表取締役 新野達治・新野恵一+建築家 秋山東一

見学した建物の3ペアに加え、岐阜の伊神建設・伊神社長と建築家・趙海光さんからの報告も。
それぞれが、まったく一色ではない展開をしているところが、町の工務店ネットの真髄ともいえるでしょう。

2019年は、各地域で「The 定番 地域会」を展開していきます。乞うご期待。

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