街中に、緑と野菜畑の町角を計画する。

明石の大塚工務店が計画している土地計画で秋山東一が建築学校で描いたエスキスです。

田園郊外に、楽しく住める町角をつくる。

浜松の工務店9社が協同してつくる「里山のある町角」を、田瀬理夫がランドスケープしました。

「複眼の目」を持って取り組むとは、どういうことか?

プロデューサー・小池一三は考えた

今回プロジェクトの構想のうち、目玉となる「宇刈・里山のある町角」について、「秋山・田瀬・地元の工務店が組むのだから、おもしろいに決まっているけど、うちは街なかの工務店だからピンとこない」という意見があって、参加を見合わせるという声がありました。
これに「ガーン!」とショックを受けた小池は、長い長い「構想」で書いたことがよく
理解されておらず、それは「宇刈の計画が前に出過ぎたのがまずかった」と気づいて、ここに若干の軌道修正をはかることにしました。

 宇刈の計画は、趣旨に述べた内容でしっかり取り組むと共に、「街なかの町角計画」についても取り上げ、20ヶ月間のプロジェクト期間中に、具体案件として浮上させるよう軌道修正を行うことにしました。
 したがって、この趣旨に合うと考えられる案件を持っている工務店は、小池まで積極的にお申し出ください。現地に出向き、土地をよく見て、取り上げるかどうかの可否を早期に決めます。

 小池が「構想」で述べているように、「郊外住宅」と「街なか住宅」は、今の日本の住宅風景にあって、同じように「貧困」を囲っています。この両方とも問題であり、「里山のある町角」を郊外で生み、それを「街なか」に持ち込もうという意図を持ってのプログラムでした。しかし、その内容がいかなるものかについて「ノウハウは秘する」というケチな考えが先に立ち、不十分な説明になっていました。このプロジェクトで修練をつまなければ身につかない、という「道場」の考えに立って堂々と発表すべきでした。
 小池は、この二つの取り組みは、例えて言えば「コインの裏表」のような関係であり、「複眼の目」を以て取り組むべき事柄ではないか、といいます。
 ヒントになるのは、吉村順三が、京都老舗の「俵屋旅館」や、福岡の鮨屋「河庄」でやった事例です。一つの庭を、視線を交わすことなく三つの部屋から、同時に眺められる手法です。工務店の「街なか」での計画は、視野狭窄というべきか、注文住宅と称して「個」に固まり、うちに籠った展開に終始しがちで、それは「郊外」と「街なか」とたがうことなく、同じように抱えたプランの柄でした。
 例えばここに、2軒の空き家があるとします。そこに3軒の住宅を計画しなさい、という設題にどう応えられるのか?
先に紹介した、明石・大塚工務店による「街なかの町角計画」は、目下、懸命になって計画作成に向かっている過程にあります。グーグルマップの写真ではよく分かりませんが、敷地の南側の1階部分は、すぐに土手が立ちはだかっていて、部屋に太陽光は降り注いでくれません。この土地の最大の難点です。しかし、最近の郊外住宅の南側の部屋は、たいがいレースのカーテンなどに覆われていて、昔のように南に向けて開かれていません。南側は逆光であって、コンピュータを操作していると、陽が入り過ぎるとテラテラして困ることがあります。高断熱高気密の進化により、南面依存度は格段に少なくなっています。
神戸の里山住宅博は、南面ひな段の土地ではなく、北傾斜の土地でしたが「京都のいい庭は、みんな順光の北側にある」と打ち出し、北側案件から売れました。
かといって、このことは南側を壁にすべし、ということを意味しません。目にうるさい太陽光を避けつつ、太陽光を部屋に招き入れることがプランの鉄則であることは、これからも変わりないでしょう。しかし、この明石の土地で何面に面した区画は、やはり工夫が必要です。この「解」をどう求めるかを、設計道場で取り組みましょう。秋山東一のエスキスは、その一つのヒントですが、田瀬理夫も加わり、今回のプロジェクト参加の工務店の中から、どんな案が飛び出すか期待されるところです。

ポストコロナの胎動が始まっています。
人と人の関係を断絶させるコロナ禍を、いつ抜け出せるのか、まだ先行き不透明ですが、それでも、今プロジェクト終了時には動き出しているものと推量されます。
つまり、このプロジェクトで学ことは「即戦力」になり得ることと、私たちは考えています。今回のプロジェクトには「えっ! あの工務店が」というところが参加されています。
当日、自己紹介をし合います。

 まだ、参加するかどうか決めかねておられる工務店は、当日の午前のプログラム「始業式」を、参観的に、ご視聴いただけることにしました。奮ってご参加ください。


木場の家
設計 秋山東一 施工 木曽アルテック社  p.Eiji Kitada

秋山東一には、名作といわれる住宅がある。その一つが「木場の家」である。それはOMソーラーの家の空間的可能性を示す建物として登場した。

木場の家
設計 秋山東一 施工 木曽アルテック社  p.Eiji Kitada
木場の家
設計 秋山東一 施工 木曽アルテック社  p.Eiji Kitada
木場の家
設計 秋山東一 施工 木曽アルテック社  p.Eiji Kitada
木場の家
設計 秋山東一 施工 木曽アルテック社  p.Eiji Kitada
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1991年1月1日、OMソーラーの誕生を告げる一冊の本が出た。この本の巻頭を飾ったのは、秋山東一の「木場の家」であり、また同システムの世界を4枚のイラストで描いたのも秋山東一だった。この本は、それから30年経た今も、古書として高ランクをキープ(Amazon調べ)している。

OMソーラーの家

このプロジェクトについて

コロナ禍を経験し、あらゆる見直しが始まっています。住まいも例外ではありません。

省エネと耐震面で、住まいの「箱」としての性能はここ20年、格段に進化を遂げました。けれども「箱」のクオリティは高くなったけど、「場」はどうかと問われると、「見えていない」というのが工務店の現実です。
秋山東一は、「フォルクスハウス」と「Be-h@us」で知られる建築家ですが、氏から教えを受けた工務店は「言葉と同じように、住宅設計にも文法があることを学んだ」と言います。建築美学と設計力の向上は、やがて鹿児島・シンケンや、埼玉・小林建設など、業界トップランナーの登場を促しました。
今、われわれは改めて秋山東一の設計メソッドに刮目し、具体的な「定番」モデルの設計を通じて、これからの住宅を解く「文法」を学び直そうと思い立ちました。われわれが造る一軒一軒の家が、より良い「場」であるために。

プロジェクト期間:2021年4月〜2022年11月

プロジェクト参加費:60万円/1社(税別)

今回のプロジェクトを実行するには多額の予算を必要とします。参加費用は、その費用をまかなうためのものです。尚、町工ネット会員につきましては、月々会費をいただいておりますので20万円減額措置を取らせていただきます。あしからずご了承下さい。詳しくは、町工ネット事務局までお問合せ下さい。

建築家・秋山東一

osukana55JP1942年東京都に生まれる。 1968年東京藝術大学美術学部建築科を卒業後、東孝光建築研究所に入所。 1972年独立し、ランド計画研究所を設立。
OM研究所の設立人の一人。 1994年小池一三・菅波貞男らと「フォルクスハウス」を立ち上げ、2003年にその進化系となる「Be‐h@us」をインターネットを通じて公開する。これらは、2005年に発表された『ニッポン●プロダクト』のひとつとして、住宅業界で唯一選ばれる。2009年より 12年間にわたり、「秋山設計道場」を開き、地域住宅の担い手の育成にあたる。

木場の家・かいせつ

この建物は、東京木場・潮見ウッディランド内に建てられた木曽アルテック社のモデルハウスとして建てられました。同社は、木曽奈良井に本社・工場があり、木曽の木と漆の建築への利用をはかるためのモデルハウスでした。現在は、解体されましたので見られません。幻の名作といわれています。

居間は床の間つきの和室とつながっています。床はフキ漆のナラ材が用いられ、大黒柱・床柱・みずめの階段・家具・手摺・棚板などに漆が用いられています。通路部分は大振りな空間とし、全体として見ると、それぞれ十分な引きが得られ、吹き抜け・階段によって空間の俯瞰性が得られています。

図面はクリックで拡大されます。

屋根伏図
屋根平面図
2階平面図
1階平面図

秋山東一を育てたもの





beetle
秋山さんが乗っていたbeetle
『すっぴんの、木の家。』より
(スケッチ・秋山東一)
ホール・アース・カタログ
『The Last Whole Earth Catalog』
(全地球カタログ)1971年 
フォルクスハウスは、
スチュアート・ブランドの本から多くを学んだ。
ブランドの書籍『HOW BUILDINGS LEARN建築はいかにして学ぶか)』より、
「建物は6つのSの層でできている」

秋山設計道場から

「秋山設計道場」は、12年間にわたって持続的に取り組まれてきました。
運営は、コスモネット。実施主体はリードスクエア。これを一身に担い、身を粉にして取り組んできたのは、愛知の工務店・コスモホームの鈴木岳紀さんです。

今回、「A2」プロジェクトが開催する「秋山東一設計道場」は、秋山東一による「定番モデル」の設計過程に学び、秋山東一の設計実践から生まれたエッセンスに学び、またアース・カタログや書籍を生むために、「秋山東一設計道場・ククル分会」と名づけ、期間限定で開催される設計道場です。つまり「秋山東一設計道場」に関しては、庇をお借りして、期間限定で開催することになります。

ここでは、これまでの設計道場から生まれてきた考え方・表現方法をご紹介します。


記念すべき第一回目の設計道場から。
このときは、道場生への講評のみで、自身は計画しないつもりでいたが、急遽提案したもの。
建物が建てられない部分がある特殊な敷地を活かすべく、駐車場とユーティリティスペースを持った小さな住宅である。


「パターンメソッド」と呼ぶ考え方の図解。
敷地があって、理屈がある。車と木を配する。
T.T.Sとは「チン・トン・シャン」と整えること→とにかく徹底的に考えること。


2012年4月の設計道場から。
三角形の変形敷地にも、まず車と木から配していく。
「Mt.Dog Triangle」と名付ける。表現方法がだんだん多彩になってきた。


2020年3月の設計道場から。
敷地面積98.4㎡という世田谷区の住宅街に、街並みに何らかのオーダーをと考えたもの。
西側道路と平行にRCの壁を設え、駐車スペースと建物を分割し、木を街路樹のように設えた。


最新(2021年2月)の設計道場から。
5m超えの擁壁の上の三角形100㎡という土地、そこに家族5人、車にバイク、という課題に対しての秋山さんの出した答え。
まずは車、バイク、自転車、玄関を決め、敷地の一番ネガティブな西側隣地境界に沿って水周りを配し、と展開していく。
非常に優れている、と自ら評している。


7つのテーマを持つプロジェクトをスタートします。

1.秋山東一による定番モデルの設計過程に参加します。

モデル建築は、秋山東一設計、浜松・入政建築により「里山のある町角in宇刈」に建てます。用材は地元の天竜材・手刻み加工で臨みます。コロナ禍を鑑み人肌に近い地元ムク材を用いて「場」の演出をはかります。参加工務店はオンラインで、この設計・工事過程に参加し、設計図書と施工図のCADデータの配信を受けます。

入政建築モデルのキャラクター
「ククルくん」

ククルくんの家は、この丘に建てます。

「里山のある町角 in 宇刈」ランドスケープ・田瀬理夫

全9区画 全体面積:8,942㎡ 宅地面積:2,510㎡ コモン等面積:1,670㎡里山面積:3,202㎡

全9区画。西側に里山を背負った土地です。コモンに通じる真ん中の道は、各敷地の接面道路となりますが、普段は「歩く道・遊べる道」になります。土地全体をぐるっと回る小径があり、南側に18台の駐車場があります。全棟、地元ムク材を用います。これからは、規模の大きな住宅博ではなく、緑ゆたかで小じんまりした町角を次々と生んでいきます。オン・ステージからオン・ザ・コーナーへ。今回のプロジェクトでは、
新しい町づくりのあり方も一緒に学びたいと思います。
(町の工務店ネット代表 小池一三)

2.町づくり計画を学びます。

モデル案件のランドスケープは、NHK「美の壺—空中庭園」で知られる、造園家・田瀬理夫が担当します。生物多様性を大切にする“小さな町づくり”の名人です。

3.「秋山東一設計道場・ククル分会」を開きます。

秋山東一をコアに、建築家・造園家・建築環境学者・生物学者など、多彩な講師陣による設計道場を開講します。コロナ禍により設計道場はオンラインになりますが、交通費・宿泊費が掛からないので大勢で参加できます。

迫英徳氏

特別講義 迫 英徳(シンケン代表)
「秋山さんの建築美学は、シンケンの経営と建物を方向づけました。じっくり時間を
掛けて、語り尽くしたいと考えています。」

田瀬理夫氏

1949年東京都に生まれる。1973年千葉大学園芸学部造園学科(都市計画・造園史専攻)卒業後、1973年~1986年、SUM建築研究所の一連の集合住宅プロジェクトに参加。1977年「ワークショップ・プランタゴ」を開設。現在、株式会社プランタゴ代表。農業法人ノース代表を兼務(2009年~2019年)。【主な作品】アクロス福岡/アクアマリンふくしま/味の素スタジアム西競技場/ゆりが丘ヴィレッジ(2011年度「JIA25年賞」受賞)/地球のたまご/クイーンズメドウ・カントリーハウスの馬付住宅プロジェクトなど。

宿谷昌則氏

1953年東京に生まれる。早稲田大学理工学部建築学科卒業。早稲田大学大学院博士課程修了。工学博士。カリフォルニア大学ローレンスバークリー研究所客員研究員などを経て、東京都市大学(旧武蔵工業大学)教授、現在同名誉教授。2001年に日本建築学会賞(論文)、2012年には建築教育の発展ならびに社会に顕著な貢献をした業績が評価され、日本建築学会賞(教育業績)を受賞。著書に『Bio-Climatology for Built Environment, CRC Press, 2019』、『エクセルギーと環境の理論―改訂版(井上書院)』など。

4.秋山東一の設計方法を拾い出し、テキスト化します。

秋山東一の設計活動の中から生まれた、設計メソッドのエッセンスをテキスト化し、含蓄に富んだ設計言語を共有します。

5.アースカタログを制作します。

コロナ禍と気候変動の時代を見すえ、これからの住宅に役立つ情報を「秋山東一アースカタログ」(全50P)としてまとめ、webでも発信します。

6.SNSの発信・集客資料・ビジュアルを共有します。

集客の突端はSNSです。このプロジェクトが持つビジュアルを活かして、どしどし発信してください。これらのデータは自社webにも使えます。

7.このプロジェクトを一冊の書籍にまとめます。

プログラムの内容を記録し、編集し、書籍『建築屋A2kiyama』(仮題)を発行します。この本には、工務店から生まれた建築事例(要審査)も掲載します。

プロジェクト構想

新建ハウジングに、このプロジェクトの広告を出しました。その広告を見てきてくださった方も多いでしょう。

ここでは、広告には書ききれなかった構想を紹介します。少し長いけれど、読んでいただけばなるほど、となる話です。

書き手:町の工務店ネット代表 小池一三

1946年京都市生まれ。1987年にOMソーラー協会を設立し、パッシブソーラーの普及に尽力。その功績により、「愛・地球博」で「地球を愛する世界の100人」に選ばれる。「近くの山の木で家をつくる運動」の提唱者・宣言起草者として知られる。雑誌『チルチンびと』『住む』などを創刊し、編集人を務める。(財)住宅建築省エネルギー機構理事、国交省「木の家から林業再生を考える委員会(委員長/養老孟司)」委員などを歴任。【主な現職】一般社団法人町の工務店ネット代表/手の物語有限会社代表取締役/住まいマガジン「びお」編集人。

サポートスタッフ

平野泰章(ひらの・やすあき)

多摩美術大学美術学部建築科卒業後、設計事務所、OMソーラー設計部、OM建築工房代表を経て独立。一級建築士事務所 平野建築工房代表。これまで手掛けた住宅設計は、全国で200棟以上を数える。

村田直子(むらた・なおこ)

北海道生まれ。室蘭工業大学建築工学科卒業。寒冷地住宅の研究を経て、システム住宅の開発や工務店の標準化を取り組みながら、家を造る側のしくみ作りをサポートする。一級建築士事務所MOON設計代表。

松村幸次(まつむら・こうじ)

コピーライター、エディター。長年OMソーラーにて広告、広報業務を担当。独立後は工務店を中心にweb、販促ツール等の制作、雑誌『住む。』の制作に携わるほか、日本ボレイトに在籍し広報業務も担当する。

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