奥村昭雄さんの牧野植物図鑑

地域の一隅を照らす工務店を応援したい佐塚です。

また本の話ですが
昨日とはちょっと毛色が違いますゆえ。

NHKの朝ドラ
「らんまん」の影響で
牧野富太郎に注目が
集まっているようですね。

私は毎度のことながらドラマは
一秒も見たことがありませんが
書店に行くと牧野富太郎コーナーが
できていたりして
楽しく本を漁っています。

この牧野ブームで文庫化再販されるのが

『牧野植物図鑑の謎』

まだ文庫は出版されていませんが
昔読んだこの作品は
なかなか面白かったですよ。

同書によれば、牧野富太郎は

一方でズボラと見える時は必ず一方で精励して持ち前の凝り性を発揮して居る

という、なんだか自分もそうだよとか
投影したくなるような性格の持ち主で
それ故か大学でも衝突だらけ。

一方のライバル、村越三千男は
残された資料は少ないものの
当初既に植物の権威であった牧野に
仕事を頼みながら、やがて離反していく。

破天荒でありながらメジャーになった牧野と
無名ながらもその実績は牧野を脅かした村越。
後世の名声のほとんどは牧野のものになる。

とはいえ、「牧野日本植物図鑑」と
名乗ることになった背景には村越の
存在があるはずだと著者はいうのです。

当たり前だと思っていた「一番」の
影にあった別の「一番」を知る面白さ
そう、エジソンに対するニコラ・テスラの
ことを始めて知った時のような
面白さがある本なので、文庫が出たら
みんな読むと良い…。

というのは前振りです。

僕の手元には、牧野植物図鑑があります。
厳密には「牧野新日本植物図鑑」。

実はこの本、建築家で
空気集熱式ソーラーの考案者
奥村昭雄さんの持ち物でした。

僕は前職のOMソーラー時代
浜松の本社に勤務するより先に
奥村さんの事務所に少し
出入りをしていました。
1992年のことなので
もう30年以上前のことです。

多分その時からこの本は
書棚にあったんでしょう。

奥村昭雄さんは2012年に亡くなり
奥さんのまことさんも2016年に
帰らぬ人となりました。

奥村夫妻の遺された蔵書を
形見分けというか、みんなで
引き取らせてもらおう
という機会があり、その時
この牧野植物図鑑を分けて
いただいた、という経緯で
今、手元にあります。

奥村さんは建築家ですが
コンピュータで描いて見せたり
植物に造詣が深い人でもありました。

古書というのは
単に中古の本ではなく
前の持ち主の「癖」のような
ものがある方が味わい深い
と思っています。

この本にも、葉が挟まっていたり
時に着色してある場所があったり。

僕は前の持ち主以上に
この本を使い込めないかも
しれないけれど
受け継いだもののマナーとして
なんとかかっこよく使いたいと
ここに宣言してみる次第。

以上!