長持ちする道具を手に入れてよろこぶ

地域の一隅を照らす工務店を応援したい

週末料理愛好家の佐塚です。

この写真は僕の家をやってくれた
大工さんの道具。
久しぶりにお会いする機会があったので
わざわざ広げて撮らせていただきました。

こちらは色々お世話になっている
左官屋さんの道具。
コテも使い込むとかなりすり減って
小さくなっていきますが、同時に
手に馴染むようになっていくそうです。

手仕事のための道具って
使い込むほどかっこよく
なっていきますよね。

僕は工務店のネットワークをやっておりますが
自分で工務店を営んでいるわけではないので
身の回りの「仕事道具」というと
iPadとかMacBookとかそういうのばかりです。

Appleのスティーブ・ジョブズは

「僕は、擦り傷のついたステンレスを美しいと思うけどね。僕たちだって似たようなもんだろう? 僕は来年には五十歳だ。」

という言葉を残しています。

これは(当時の)iPodはカッコイイんだから
ケースなんかに入れて使うな
というメッセージです。

僕はそういうことに大いに賛同するので
iPhoneも裸で使っています。

以前のiPhoneは平屋の屋根から
落っことしたことがありますが
幸い「傷ついたステンレス」
になるだけで済みました。

今はガラスになっちゃっているから
割れてしまうんでしょうけど。

身の回りの道具で、長く使えて
使うと傷もつきながら美しくなっていくもの…。

と探したら、またキッチンネタに
なってしまいました。

de BUYERの鉄フライパンです。

こちらは買ってきたばかりの状態。
綺麗といえば綺麗ですが
自分の道具、という感じにはなっていません。

数年間使ったものがこちら。
すっかり黒ずんでおりますが
これは酸化被膜(黒錆び)です。

表面処理をしていない鉄はすぐに
錆びます。通常は赤錆びが発生し
腐食が進んでしまいます。

これに対して黒錆びは
それ自体が表面処理のように
鉄に膜を張って保護してくれる
役割を果たします。

建築に使われる
黒皮鉄もまさにそれですね。

鉄フライパンは

  • 重い
  • 錆びる
  • 手入れが面倒

というような理由で嫌がる人がいます。

でもさ。

実際に使い込んでいくと

  • 鉄の厚みがあるから料理が美味い。
  • 酸化被膜ができたら、そうそう赤錆びは出ない。
  • タワシで水洗いするだけ。油もいちいち塗らない。
  • 金属のターナーなども遠慮なく使える。

と、デメリットなどほとんど消し飛ぶ
メリットだらけです。

重いことは重いので、非力な女性には
大きく振りながら使うようなことは
難しいかもしれません。

重い(厚い)鉄=熱容量が大きいということで
全面にうまく熱を伝えることができる
という性質があるので
ブンブン振り回さずに火にかければ
ちゃんと美味しい料理ができあがります。

フッ素加工のフライパンは一見便利です。
でも加工が剥がれたら魅力も一緒に剥がれて
あとは捨てられるだけ(再加工もできるけど)。

育てて自分のモノにしていく楽しみはなく
新しくまた捨てるためのモノを買い続ける。

「便利」ってなんだろうな〜。

世の中、どんどん「便利」になっています。
でも「便利」というのは意地悪く言うと
準備をしない人が自分でやらずに
他者にツケてお金で解決すること
だよなあ、と感じています。

この、自分でやることと他者に頼むことの
塩梅が、どんな仕事にも出てくるわけですが
何を大切にして自分のところに残しておくのか
ちゃんと考えて準備しておかないと
いつの間にか自分の仕事もなくなるぞ
と、教訓めいたことのようでいて
自分に言い聞かせている気がしてきた。

以上!