「実家」という言葉と存在

地域の一隅を照らす工務店を応援したい佐塚です。
金曜日は目の前の仕事からちょっと離れて(いつも離れてるだろって?)。

「実家」という言葉について。
実家って、すごい言葉ですよね。実の家と書いて実家。どうして実家と言うんだろう。今住んでいる家は実の家ではないのだろうか。

困った時は(そんなに信じていないけど)chatGPTに聞いてみます。

なんか、後者の方は、「それが転じて」には無理があるような気がしますが、いずれにしても、語源ははっきりしないということのようで。

さて同じく機械翻訳に聞いてみると、「実家」は「parents' home」。
親の家。そのまんまな感じです。

色々な工務店さんやお施主さんと話していると、住まい手さんの感覚というか価値観というかリテラシーというか、そういうものが「実家」に左右されてるな、と思うことが、よくあります。

実家が無垢の木の家だったので、自分の家もそうしたい、あるいは、だからそうしたくない。いいにしても悪いにしても、その理由がはっきりしています。そういう場合はお話がしやすいでしょう。

ところが、ヒアリングだと「今住んでいる家」のことしか聞かないことが多い。

今住んでいる家は、それぞれの夫婦が住まい方の価値観を育んだ場所ではなくて、結婚してから家を建てるまでの、いわば仮住まいのようなケースが多いですから、そこにあるのは、根っこにある価値観ではなくて、単に目の前にある問題、狭いとか寒いとか、そういうことになってしまいがちではなかろうか。
そういう話を設計実務者に聞いてみたことはありますが、実家の影響はかなりある、という反応でした。

歴史学者・人類学者のエマニュエル・トッドが、家族類型を、以下の6つに分類しています。

『トッド人類史入門 西洋の没落』(文春新書)より

原始的なのが核家族、新しいのが共同体家族、と言いますから、アラブやトルコ、イランなどの家族のスタイルが人類的には新しいそうです。といってもピンときませんね。
核家族→直系家族→共同体家族、という風に進化し、その過程で父系権力も強まったと。

日本では今は核家族世帯が多く、昔のような直系家族ではないようにも思うのですが、米国の影響下にあって核家族のような住まいが生まれているだけで、社会としては直系家族なのだ、と言われると、確かにその通りかもしれません。

何が言いたいかって? よくも悪くも、人は実家の、親の影響を受けるので、そのことを理解しておくと家づくりもスムーズかもなって。僕自身が設計者ではないから、そういう風に思うのかもしれません。ただ、結婚前に相手の親にあっておく、というのは、単に許してもらうとか報告するとかだけじゃなくて、相手がどういう家庭で育ったか、ということを見る行為だと思うので、それは家づくりにも反映していいことじゃないかなと思う次第です。