【延期】春のセミナー

 [2020年02月29日]
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、当セミナーは延期とさせていただきます。実施時期につきましては、あらためてご案内いたします。

天竜の木を用いて、街に、木の建築を! 建物見学バスツアー

【主催】遠州・地域材研究会 【協賛】一般社団法人 町の工務店ネット
【後援】浜松市・浜松商工会議所(14日バスツアー)

【開催日】2020年4月14日(火)~4月15日(水)
【参加費】36,000円(税込/人)

この写真は、浜松在住のカメラマン上田明さんが、天竜の山に取材に入り、偶然、下草刈りをされていた老人に出会ってシャッターを切られた写真です。20年も前のことです。
この写真を見た私は「天竜の杣びと」とタイトルをつけ、当時、全国各地で取り組まれていた「近くの山の木で家をつくる運動」のニュースなどに掲載しました。
杣とは、山に木を植え、育て、それを生業にする人をあらわす言葉です。この一枚の写真に「老いてなお我、杣夫なり」といった気概を感じます。私はそこに天竜の山が持つ生命の証を見たのでした。
天竜の山は、人々によって営々として引き継がれ、育てられてきた万代不易の山です。そのことに畏敬の念を持ち、天竜の山の木を用いて、永く生き続ける木の建築を生み出さなければ、と思うのです。
(記/小池一三)

天竜川下流域の旧河道(「天竜川・菊川の流れと歴史のあゆみ」より) 国土交通省中部地方整備局河川部河川計画課

古代、天竜川は度重なる洪水により、三方原台地と磐田原台地の間に、幾筋もの河道をもたらしました。天竜川に土手を築いて治水を試みられたものの、大雨の度に小天竜の河道に水が乱入し、洪水被害が発生しました。ここに、山に木を植えて“暴れ天竜”を治めようとした2人の先達がいます。藤原茂辰と金原明善です。藤原茂辰は、水窪にある山住神社の23代宮司です。彼は当時の幕府御用材の乱伐を憂い、荒れた山に植林することを決意し元禄9年1696年、紀州熊野神社参内の折、苗木3万本を買求め、以降亡くなる延亨元年(1744年)までの48年間に36万本の造林を行ないました。金原明善翁は治山治水の人としてつとに知られますが、翁がモデルにしたのは藤原茂辰でした。明善19歳の時に遭遇した洪水は、明善の生地である安間村を沈めました。明善は「治水の基は水源涵養林にあり」と考え、官有林にスギ249万本、ヒノキ49万本を植えました。天竜材はこうした先達に導かれ、戦後造林を経て、関係者の必死の努力により、今の美林を形成するに至りました。しかし現実は、手入れが行き届かず、今のままでは山の荒廃が必至です。森のめぐみを利用しながら、新しい苗を植え、健康な森を育てる循環を生むことが大切です。山から出てきた木を、遠くに運ばないで地域で用いれば、その分、環境負荷が軽減されます。建物に用いられた木は二酸化炭素が固着化され、地域環境に貢献します。大切なことは、木の植樹・育成・伐採・利用の地域循環を生み、持続可能な森林環境を、市民みんなで守り発展させることです。

見学する建物

街の中の醤油工房 [加藤醤油] 設計・施工:(有)番匠

街の中のこども園 [なかよし第2こども園] 設計:村松篤

浜北の住宅 [平口ゲストハウス] 設計・施工:スローハンド(有)

袋井の礼拝堂 [からし種礼拝堂] 設計・施工:(有)入政建築

[掛川市森林組合新事務所] 設計:村松篤

セミナー講師陣

趙海光(建築家・ぷらんにじゅういち 代表)
法政大学建築学科卒業。国産材を用いた台形集成材の設計や、木造スタンダード住宅の設計手法となる「現代町家」に取り組む。後者は町工ネット工務店の「定番設計」の一つになっており、各地の工務店によって設計の内部化が計られている。『「現代町家」という方法』(建築資料研究社)が発行され、建築と植栽による、里山のある町角づくりに注目が寄せられている。

中規模木造の取り組みは、S造に対抗できる架構のおもしろさと、コスパに掛かっている。プロジェクトの検討過程と、見えてきた架構法・コスト見通しをお伝えしたい。

村松篤(建築家・有限会社村松篤設計事務所 代表)
1959年静岡県生まれ。工務店・住宅ネットワークの設計部長を経て1996年に村松篤設計事務所設立。これまで全国で延べ570棟を超える設計実績を持つ。心地良い空間で永く愛着が持てる建築を基本に据え、パッシブソーラーの設計を数多く手掛ける。日本建築家協会(JIA)の静岡県支部会長を歴任。静岡県住まいの文化賞最優秀賞、静岡県建設業協会優良賞、日本建築学会東海賞ほか、建築賞を多数受賞。

今回、見学ツアーでこども園と木の事務所をご案内します。今後、工務店施工でやれる木の建築を、街なかのレストランとか、いろいろな建物で実現したい。

坂田卓也(建築家・一級建築士事務所アトリエ樫 代表)
筑波大学芸術専門学群建築デザインコースを卒業し、増沢洵建築設計事務所に入社。息子の幼稚園への入園に合わせて帰郷。はじめての仕事は自宅の計画。以降、増沢事務所の同僚だった妻、事務所のスタッフ達と仕事に取り組む。日々の生活を重ねる住まいは、よそ行きの「着飾った服」でなく、「着心地の良い服」のようなもの。暮らしの一部として建築設計を考える。

3.11で被災され、木を用いた事務所を福岡に建てられた「Kotori works」の建物を見てきました。その感想を述べ、地域型木造の取り組みについてお伝えしたい。

眞瀬悦邦(有限会社番匠 代表)

創業は江戸末期。歴史ある遠州大工の心と技を継承する工務店、番匠の七代目。地産の天竜材の利用を活性化させるとともに、伝統の技を継承するだけではなく、耐震技術・省エネ・パッシブシステムなど、新しい技術を積極的に取り入れ、現代にふさわしい木造住宅を追求。森につながる家づくりをめざす「森と住まいの会」のメンバーとしても活躍している。遠州・地域材研究会座長。

天然乾燥の天竜材に惚れ込んでやってきた。E(ヤング)とD(含水率)が問題視される中規模木造をどうこなすか。新しいチャレンジが始まります。

新野達治(有限会社入政建築 代表)

1959年3月8日生まれ 県立浜松工業高校卒業。地元住宅会社勤務の後、家業の入政建築に入社。社名は先代の「政治さん」に仕事が「入る」ように、との思いから名づけられた。主に住宅、店舗を設計施工して現在に至る。大正から昭和への転換期から三代、木とこころを通わせ、自然素材を用いた家づくりに邁進してきた。小さな工務店だからこそやれる、本物の材料を使った丁寧な仕事を心がける。

浜松特有の「やらまいか精神」を発揮して、この取り組みに臨みます。いいものを生まないと根づきませんので、一つ一つの仕事を丁寧に進めたいと思っています。

森田勝明(スローハンド有限会社 代表)

地域工務店で営業職として、空気集熱式ソーラーの家に数多く携わる。2003年に、前代表杉本直計とともにスローハンド設立。建築というやっかいな仕事を、音楽を奏でるように愉しむ姿勢に、ユーザーの共感・共鳴を得ている。スローハンドという名の通り、時間をかけて出会い、時間をかけて住まう家づくりにとことんのめり込むメンバーで構成される「木の家専門工務店」、今回は木造非住宅にチャレンジ。

のめり込むメンバーで構成されている工務店なので、それが恐いところでもありますが、なるほどと言われる事例を生むことで活路を開きたい、と考えています。

松原美樹(手の物語有限会社 常務取締役)

中部大学建築学科を卒業後、設計事務所を経てOMソーラー協会に入社。技術推進プロジェクトを担当、アメリカ事務所に配属。北米・南米で集熱ユニットの開発に従事し、同協会退社後、奥村昭雄考案のパッシブシステムの原理を活かした、簡単でシンプルな方法を模索。手の物語役員としてびおソーラーの開発を担う。青いトラックに集熱ユニットを載せて全国を駆け回っている。

木造非住宅の取り組みは、耐震の取り組みと共に、もう一つのテーマとして、省エネ・室内気候が浮上します。サンベルト地域にふさわしい方法を提案します。

小池一三(一般社団法人 町の工務店ネット 代表)

パッシブソーラーの普及に寄与。「近くの山の木で家をつくる運動」の宣言起草者として知られる。これらの功績により「愛・地球博」にて「地球を愛する世界の100人」に選ばれる。今回は、地元工務店・設計者・製材工場と共に「天竜材を用いて、浜松の街に木の建築を」キャンペーンの事務局長を務め奔走中。若い頃、天竜の山々歩いた経験を活かし、天竜の山・川・街の関係を解く作業に余念ない。

私個人にとってこの取り組みは、街の側から後背の山と一緒に道を開く、「近くの山の木で家をつくる運動」で果たせなかったことにチャレンジする取り組みでもあります。


遠州・地域材研究会のメンバー
村松篤・坂田卓也・眞瀬悦邦・新野達治・森田勝明・水﨑隆司(水﨑建築 代表)・小澤典良(造居 代表)・天野徳重(アマノ 代表)・石野秀一(フジイチ 代表)

町の工務店ネット 春のセミナー

【主催】一般社団法人 町の工務店ネット

【開催日】2020年4月21日(火)福岡 4月22日(水)大阪 4月23日(木)東京
【参加費】5,000円(税込/人・回)

住まいを予防医学する本町の工務店ネットが『住まいを予防医学する本』を発行したのは2007年だった。この本の中で、私たちは「世界が震える新型インフルエンザ」についてページを割き、その予防策は、血行と代謝をよくして体全体の抵抗力を高め、病気になりにくい生活をおくることだと記した。室内気候については、エアコン(空気熱)頼みの過刺激的な温熱環境に依らずに、室内の周壁温度を高め、放射暖房の方法を推奨した。近年、断熱気密技術は格段に高まった。けれども冷暖房は、今尚エアコンに依存している。パッシブ的な手法を用いた室内気候は、冬に窓を開けても急には冷え込まない。寒い夜道を歩いて家に入ったとき、ほわーっとした温かさがやさしく身を包んでくれる。その温かさは、ゆっくりじんわりと体の深部にまで及んで、ホドいい室内気候を生んでくれる。夏には、天空放射冷却によって寝苦しくない状態を得られる。熱帯夜は、エアコンを必要とするだろう。けれども底上げされた室内気候は、一年を通じて、その使用頻度を抑えてくれる。

設計・施工:マクス(静岡県)

設計・施工:シンケン(鹿児島県)

設計:趙海光・施工:日本ハウジング(大分県)

設計・施工:建築工房アシストプラスアルファ(富山県)

街の工務店ネットが、今、取り組んでいること。

①基本となるベースは「定番住宅」。
「定番設計」は工務店ラインナップの最下位に置くものではない。その工務店が練り上げた建物を、求めやすく提供することをいう。

②パッシブ最前線の方法を身につける。
空気熱でなく放射熱に目を向け、高断熱高気密住宅の先にあるものにチャレンジ。目指すのは、健康によく、居心地のいい空間。

③地域の風景になる建築を。
バラバラの屋根と窯業系サイディングの壁が地域の風景を支配している。その家は前を通る人の家でもあると考えて家をつくる。

④風化と劣化の違いを押し出す。
外壁を、杉の板張りや左官仕上げにするだけで、家並みは変わる。風化と劣化は異なる。素材の選択とデザインの違いで示したい。

⑤リノベーション(根本改修)に取り組む。
お化粧直しのリフォームから、耐震と断熱気密を根本治癒するリノベーションへ。予算の壁は厚いけど、経験知がものをいう取り組み。

⑥「街に、木の建築を」運動を開始。
「街に、木の建築を」キャンペーンを開始しました。施工に限れば、中規模木造は工務店でやれる。設計プロジェクトが動いています。

⑦プロモーション活動に取り組む
知恵と工夫に満ちた建物見学会や住まい教室を活発に開き、「web女子」(社長だけでない地域対応チャンネル)を生み、育てよう。

⑧関係認識・変革のネットワークへ。
人が育つのは、社長の背中から感じることと、仲間どうしの切磋琢磨にある。町工ネットは、金太郎飴組織でなく情報ネットワークです。

講師陣

各会場共通講師

趙海光(建築家・ぷらんにじゅういち 代表)
法政大学建築学科卒業。国産材を用いた台形集成材の設計や、木造スタンダード住宅の設計手法となる「現代町家」に取り組む。後者は町工ネット工務店の「定番設計」の一つになっており、各地の工務店によって設計の内部化が計られている。『「現代町家」という方法』(建築資料研究社)が発行され、建築と植栽による、里山のある町角づくりに注目が寄せられている。

現在4mのムク材を用いた、中規模木造建築の架構法プロジェクトに取り組んでいます。今回は、この計画にしぼってくわしくお伝えしたい。

小池一三(一般社団法人 町の工務店ネット 代表)

パッシブソーラーの普及に寄与。「近くの山の木で家をつくる運動」の宣言起草者として知られる。これらの功績により「愛・地球博」にて「地球を愛する世界の100人」に選ばれる。地域と、工務店の個性と価値を見定めるべく、各地の地域工務店を訪問、「奔走人」を自任する。全国の独立自営工務店と苦楽を共にし、可能性を探求。全国に同じ工務店は二つとない、というのが持論。

多難な時代に突入するなかで、工務店が生き続けるために根本に据えるべき理念と、具体的にして確度の高い方策について、しっかりお伝えしたい。

松原美樹(手の物語有限会社 常務取締役)

中部大学建築学科を卒業後、設計事務所を経てOMソーラー協会に入社。技術推進プロジェクトを担当、アメリカ事務所に配属。北米・南米で集熱ユニットの開発に従事し、同協会退社後、建築家奥村昭雄考案のパッシブシステムの原理を活かした、簡単でシンプルな方法を模索。手の物語役員としてびおソーラーの開発を担う。青いトラックに集熱ユニットを載せて全国を駆け回る。

短サイクル製品を用いると後になって厄介が生じる。壊れても簡単に直せ、取り換え可能な商流品を選び、長い時間に耐えられる真のパッシブをお伝えしたい。

【福岡会場】2020年4月21日(火) 
天神・アクロス福岡 13:30~17:00
【参加費】5,000円 /人・回(税込、資料代含む)
【工務店による実践報告】

水田和弘(株式会社ミズタホーム 代表)

熊本県宇土市に生まれる。地域の素材にこだわり年間7戸程度の仕事に絞って良質な家づくりに専念。その仕事ぶりに触れた人は、鹿児島シンケンが「行列ができる工務店日本一」なら、ミズタホームは「日本一幸せな工務店」と呼ぶ。本人は、かつては数を追ったこともあるけど、家を造る側と住まう側のしあわせなカタチを追い求めたら、今のあり方にたどり着いたという。

熊本地震を経験して、見えてきた事がたくさんあります。住む人の健康と喜びに貢献できる家について、実作をご紹介しながらお伝えしたい。

馬場鉄心(日本ハウジング株式会社 代表)

早稲田大学商学部卒。修業期間を経て、二代目として戻る。町の工務店ネットで学び、FC系工務店から地産地消スタイルへと業態変更。「よいものを地元で作って回す」という地産地消の循環型事業形態に着目、拠点整備を進め、地元林産地との間でネットワーク化。新築・リノベーションの二つのモデルを建設。建物の「根本治癒」をはかる取り組みを加え、安定受注を得ている。

ブルー・オーシャンな工務店を目指して日々奮闘中。これからを考え、木造非住宅の可能性を追っている。その意味するところを自分の言葉でお伝えしたい。

【大阪会場】2020年4月22日(水)
中之島・大阪国際会議場 13:30~17:00
【参加費】5,000円 /人・回(税込、資料代含む)
【工務店による実践報告】

本峰久(株式会社いなほ工務店 代表)

2006年、建築家である義父の指導のもと、会社を設立。「さぁ、実りある暮らしを」というキャッチコピーのもと、稲穂のように、分り易く、親しみ易く、安心できる家づくりをモットーとする。狭小地の3階建て住宅に精通する一方、「里山住宅博 in 神戸」の事務局長を務め、成功に導く。「里山のある町角」づくりなど、風景をつくる仕事を手掛け、伊丹にモデルハウスを建設中。

カリフォルニア・ミッドセンチュリーの上客を対象に、独創的な展開をはかったアイクラーホームのように、神戸・北摂地域を対象に、何を、どう進めるかをお伝えしたい。

大塚伸二郎(株式会社大塚工務店 代表)

木の家づくりを重ねて、もうすぐ百年になる工務店四代目。旧い民家に新しい息吹を吹き込みたいという。国産ムク材にこだわり、「里山住宅博 in 神戸」では、明石瓦を蘇らせるため淡路島の窯で焼いてもらった。喋り出したら止まらない御仁だが、仕事はじっくりコトコト時間を掛ける。今、明石で「里山のある町角」を計画中。一流のものに真っ直ぐ目を向け、懸命に学ぶ人。

ずっと走り続けてきたけど、地域に生きるとはどういうことか、自分がやること、やれることが見えてきた。そのホットな気持ちと取り組みをお伝えしたい。

【東京会場】2020年4月23日(木)
銀座・中小企業会館 13:30~17:00
【参加費】5,000円 /人・回(税込、資料代含む)

【工務店による実践報告】

鈴木克彦(株式会社マクス 代表)

昭和45年生まれ。社名のマクスは、宮大工の曽祖父から数えて富士市で四代目にあたる鈴木家の系譜「Mc.Suzuki」より。自身は北大水産学科卒の研究所勤めだったが事業継承のため戻る。町工ネットのイベントに積極的に参加し、考え方と技術を摂取。一級建築士を取得。最近、建築家堀部安嗣さんの仕事に取り組み、施工面、デザイン面での進境も著しい。

無我夢中で走ってきたら、そこに一本の道があった。地域にあって、唯一無二のオンリー・ワン工務店になるため取り組んでいることをお伝えしたい。

沢本雅彦(建築工房アシストプラスアルファ株式会社 代表)

1999年に富山市で創業。社員4名、年間新築数7戸の工務店。流行やスピードに翻弄される建築ではなく、永く住みたいと思ってもらえる家づくりを模索するなかで、町工ネットと出会い加入。趙海光さんと共同して、自宅兼モデルハウスを建築。設計と素材の標準化を進め、方向が定まった。小さな工務店は、人の心や情緒に響く「意味的価値・コト的価値」を大切に、という。

富山平野で取り組んできた数々の仕事をご紹介し、設計と、地域協同の取り組みによって開かれた、独自の顧客開発についてお伝えしたい。